奈良県香芝市議が辞職、市民への説明責任は 記者クラブに発表も報道1紙 議会HPに掲載なし 本人も発信なし

奈良県香芝市議会の12月定例会最終日の本会議。眞鍋亜樹氏はこの翌日、辞職した=2025年12月17日、同市本町の市役所、浅野善一撮影
奈良県香芝市議会の議員が12月18日付で突然辞職した。議会から地元の記者クラブに発表はあったものの、報道したのは新聞1紙だけ。議会のホームページに辞職を知らせる情報はない。本人のホームページやSNSからの発信もない。市民に十分に伝わっているのか。議員には市民の負託に応える責務があり、任期途中の辞職は議会運営にも影響する。それだけに議員の辞職には説明責任が伴う。
辞職したのは無所属で活動していた眞鍋亜樹氏(同氏HPによると1978年生まれ)。議会事務局によると、12月18日、筒井寛議長に対し「一身上の都合」を理由に辞職願いを提出、受理された。
地方自治法は、地方議会の議員は議会の許可を得て辞職することができるとしており、閉会中は議長の許可を得て辞職することができるとしている。また、香芝市議会会議規則は、議員が辞職しようとするときは議長に辞表を提出しなければならないと定めている。
眞鍋氏は2期目だった。今年3月に実施された市議会議員選挙(定数16人)では1800票を獲得、立候補者18人中5位の上位当選を果たしていた。
同市議会では前日17日まで定例会が開かれていた。眞鍋氏はこれに出席していた。眞鍋氏は議会運営委員長を務めていて、17日の定例会当日の本会議前の同委員会では、本会議での議事について委員に諮る職務に当たっていた。本会議でも提出された議案に意見を述べていた。
眞鍋氏は、議会では議会運営委員長のほか、福祉教育委員会の委員と「市施設等建設の調査特別委員会」の委員を務めていた。また、議会選出で一部事務組合の香芝・王寺環境施設組合の議員も務めていた。議会事務局によると、いずれも欠員補充が必要になるという。
議会事務局によると、眞鍋氏の辞職を受けて、全国紙や地方紙などの記者が加盟する隣町の大和高田市政記者クラブに報道資料を提供したという。「奈良の声」の確認では、辞職について報道したのは奈良新聞だけだったとみられる。同記者クラブは日本新聞協会などに加盟する報道機関で構成される。記者クラブに加盟していない「奈良の声」は眞鍋氏の辞職を12月19日付の奈良新聞の報道で知った。
一方、議会ホームページについては眞鍋氏の辞職を知らせる情報ななく、議員名簿や役職名簿の眞鍋氏の名前があった欄の記述が「欠員」に変わっているだけ。
眞鍋氏からの発信については、本人のホームページに議員辞職についての情報はなく、SNS(X、フェイスブック)は辞職前の12月5日で更新が止まっている。
筒井議長は「奈良の声」の取材に答えた。眞鍋氏の辞職について「2期目が始まり半年余りという中、本人には上位で当選していることなどを重く考えなければならないという話をして慰留したが、本人の意思が固かった。辞職の具体的な理由は明かさなかった」と述べた。
その上で、眞鍋氏の辞職を議会ホームページに掲載すべきではないかとの質問に対しては「広報として報道機関については記者クラブの幹事社に連絡した。併せてホームページから速やかに議員の氏名を削除し、欠員とした。結果としては1紙しか掲載されていないとのことだが、対応としては十分にさせていただいたものと考えている」と述べた。
「奈良の声」がウェブ上で検索したところ、少なくとも大阪府阪南市議会のホームページに「議員辞職のお知らせ」、また山口市議会のホームページに「議員の辞職の許可について」という掲載事例があった。いずれも議員名を挙げて辞職を伝えている。
「奈良の声」は眞鍋氏に対しても、同氏がホームページで公開している携帯電話の番号とEメールのアドレスに連絡し、取材を申し入れているが、12月24日夜の段階で返信はない。
筆者情報
- 浅野善一
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