「高校分校なくさないで」 奈良県山添村で村議が講演会 北海道の町立定時制担当者とオンラインで意見交換も
日高町立北海道日高高校を運営する町教育委員会職員(正面スクリーン)と意見交換をする議員、村民ら=2025年4月27日、山添村大西の村ふれあいホール、浅野詠子撮影
山添村立奈良県立山辺高校山添分校(昼間定時制、28人)の存廃を巡る問題で、議員有志6人が4月27日、同村大西の村ふれあいホールで「分校をなくさないための講演会」を開催。村民ら約80人が参加、各議員が弁士となって存続を訴えたほか、参加者も加わって町立定時制高校を運営する北海道日高町教育委員会の職員とオンラインで意見交換したした。
山添分校を巡っては、野村栄作村長は先月4日、2026年度から同校の生徒募集停止を表明。村議会は同分校の「本校化を求める決議」を同月18日、1票差の賛成多数で可決した。村長の諮問機関は一昨年、分校の存続を是とする答申案をまとめていた。
日高町立北海道日高高校は普通科夜間定時制高校で生徒数は31人。同町ではかつての基幹産業、林業が振わなくなり、夜間定時制のニーズも薄れ、廃校の危機に何度か見舞われた経験がある。
こうした中、観光や自然資源に注目した「スキーアスリートコース」や「アウトドアコース」などの科目を新設するなど特色を持たせ、日中でも単位が取れて3年間で卒業できる定時制に転換して30数年という。教育委員会職員は会場の参加者に向かって「地域から学校はなくせない」と力を込めた。
村民からは「廃校の危機を乗り切った工夫を知りたい」などの質問があった。野村信介議員は「3月4日の村長の休廃校宣言は決定したことではない」とし、奥谷和夫議員は「分校の改廃には村議会の議決が必要」とした。
存続署名が多数集まる中、村は財政上の理由から、村管理の高校(本校化)として存続させることは困難との立場を示している。これに対し、三宅正行議員は、高校が存続すると生徒の数などが地方交付税の算定に反映されることから、村財政にプラスな一面もあると述べた。
筆者情報
- ジャーナリスト浅野詠子
- 電話 090-7110-8289
- メール info@asano-eiko.com
- ツイッター @asano_eiko