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浅野善一

万博・奈良県催事のソファ廃棄問題 受託事業者に負担求める可能性 県、委託料清算に向け協議

奈良県庁=奈良市登大路町、浅野善一撮影

奈良県庁=奈良市登大路町、浅野善一撮影

 今年5月、大阪・関西万博奈良県催事会場のソファ50個が催しの3日間だけ使用して廃棄された問題を巡り、県は催事の受託事業者との間で、委託料を清算する際にこの問題をどのように扱うかについて協議している。県への取材で分かった。事業者に何らかの負担を求める可能性がある。ソファは同万博県実行委員会の所有となるが、事業者の判断で廃棄され、県への報告は事後だった。

 県実行委員会は県や市町村などで構成され、山下真知事が会長を務める。県催事は大手広告代理店を代表企業とする共同企業体に委託されている。県催事は9月末に終了しており、委託料の清算は共同企業体が提出する実績報告書を基に委託契約期限の今年12月末までに行われる。

 県実行委員会の事務局を務める県万博推進室の室長補佐は10月10日、「奈良の声」の取材に対し「(ソファの廃棄を踏まえ)委託料をどのような形で清算するのが一番か、実行委員会として法律相談もしながら、受託事業者と協議しているところ」と述べた。

 同問題は開会中の県議会9月定例会でも取り上げられた。10月1日の予算審査特別委員会では、川口延良委員(自由民主党・無所属の会)が県に対し「実行委員会の所有物を県の許可なく処分し、処分した後に報告があったという過程に問題があると思う」「普通は損害賠償を含めて考えるものだと思われる」と批判。

 また、9月29日の総務警察委員会では、松木秀一郎委員(日本維新の会)が「税金を使って運営をされていることを考えると、チェック機能が働くことが大事」と指摘している。

 ソファは「ヨギボー」の商品名で販売されているビーズソファで、共同企業体側が今年5月の「エキスポアリーナ」での「オール・ナラ・フェスティバル」のために委託限度額内で購入したものだが、廃棄について「クリーニングをしても衛生面での不安が残ることから廃棄処分した」との報告が県にあったのは事後だった。

筆者情報

万博・奈良県催事のソファ廃棄問題 「事前に相談を」 県、受託事業者に指示 「奈良の声」報道受け

来場者が並ぶ大阪・関西万博会場の入り口=2025年8月3日、大阪市、浅野善一撮影

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