万博・奈良県催事のソファ廃棄問題 「事前に相談を」 県、受託事業者に指示 「奈良の声」報道受け

来場者が並ぶ大阪・関西万博会場の入り口=2025年8月3日、大阪市、浅野善一撮影
今年5月、大阪・関西万博奈良県催事会場のソファ50個が催しの3日間だけ使用して廃棄された問題で、県はこの事実を指摘した「奈良の声」の報道を受けて、9月の催事では運営を委託している事業者に対し、同万博県実行委員会の所有となるものを廃棄する場合は、事前に相談するよう指示していた。
10月1日の県議会9月定例会予算審査特別委員会(井岡正徳委員長、8人)での川口延良委員(自由民主党・無所属の会)の質問に対する県の答弁で明らかになった。
県催事は大手広告代理店を代表企業とする共同企業体に委託されている。ソファ(「ヨギボー」の商品名で販売されているビーズソファ)は、あらかじめ決まっている委託限度額内で共同企業体側が購入したものだが、所有権は県実行委員会にある。5月の催事終了後のソファの取り扱いを巡っては、この広告代理店から廃棄後に報告があったことがこれまでに明らかになっている。
川口委員は「(「奈良の声」の)報道でも見ているが」などと告げた上で「実行委員会の所有物を県の許可なく処分し、処分した後に報告があったという過程に問題があると思う。事前に実行委員会か県にどう取り扱うべきか相談した上で処分をするのが普通。順番がおかしいのではないか」と批判、県に見解をただした。
県万博推進室長が答弁した。同室長は廃棄までの過程に問題があったことを認め、「再利用も含め事前に報告があってしかるべき(だった)と考えている」と述べた。廃棄とした判断については「(共同企業体側はソファを)仮設の看板などと同じような扱いで捉えていたと聞いている」と釈明した。
その上で、その後の9月の催事おいては「(「奈良の声」の8月15日の)報道などを踏まえて、廃棄等の報告はしっかりとわれわれとコミュニケーションを取って判断を行うよう受託事業者(共同企業体)に指示した」と述べた。
答弁を受けて川口委員は「(実行委員会に所有権があるものが許可なく処分されれば)普通は損害賠償を含めて考えるものだと思われる。最終的に(共同企業体から)実績報告書が提出され(委託料が支払われ)るが、金額については共同企業体としっかりと話をして決めていただきたい」と注文した。
9月の県催事では、12日から25日まで「オール・ナラ・ハーモニー」と題して、県を拠点に映画を制作する河瀨直美さんが携わったパビリオンの公開などがあった。
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- 浅野善一
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